福祉スプーン開発物語

福祉スプーンの開発に取り組んだ会長の回想録を掲載いたします。

 

 北海道にお住まいの加藤筧治さんが当社に尋ねてこられたのは、1991年であった。

 曰く、今までに20社くらいに開発を依頼したが、思う様な開発品に至らなかったので諦めていた。 当時北海道の営林署を希望退職し、この自分のアイデア品「ユニバーサルスプーン」(ケンジー)を世に出すべく、退職金を全て注ぎこみ果てた様子を母が見かねて、年金の中から旅費を出して、もう一回挑戦してみろと励まされ、燕に来て、日本金属洋食器工業組合に開発依頼したが、県央地域産業開発振興センターに回され、こんな特殊なスプーンを手がける所は、斉藤工業位のものだろうと言う理由であった。

 日本全国発朋コンクールに見事発明賞を獲得した為にのめり込んだ様子で、斉藤の製品として是非とも商品化の依頼を受け、開発に着手。以来、水漏れとの戦いに明け暮れし、1年と多額の開発資金をつぎ込み完成、販売開始をした。

福祉スプーン「ケンジー」

ケンジー

 販売ルートが全く無く自力開拓の中で、不自由な方が使い始め、福祉の世界に入り込む事になり、理学療法士や作業療法士の先生方が患者さんは、一人一人状態が全部違うんだから、それに合った物を作れますかと言われ、又また開発に取り掛かる事になる。

 一人一人に変化させて合わせる事が可能なスプーン・フォークの開発に又、1年と多額の開発資金を掛けて完成し、現在に至る。

 完成出来たのは、かつて、洋食器の自動化機械の開発時、資金は無し、設備も無し、有るのは自分の時間と、頭だけ、当時仕事は朝8:00-20:00まで、休日は、毎月曜日関係なく、一日と十五日の二日間だけ、この条件の中、少ない自分の給料と、3年間、夜の12時1時まで頑張り、自分との戦いで培った精神と、回りの協力者の賜物であろうと考える。

 若かったから出来た事と人生を振り返る。